過去は背後に。
未来は遥かに。
現在(いま)とは虚空。一瞬の割れ目。
韓国 ソウルを拠点に世界的に活動するAhn Jun (アン・ジュン) 初の写真集。
2008年から2013年にかけて、ソウル、NY、香港都心などで撮影したセルフポートレートのシリーズ。
高層ビルの屋上や先端にあって下を見下ろすその姿は、圧倒的な緊張感と浮遊感に満ちている。
屋上にいることは変えられない=「過去」と、遠くに感じられる都市の風景=「未来」の狭間にある「虚空」を視覚化し、一瞬の割れ目=「現在」を写しとる。コンテクストから孤立する一枚である。
高所から水平に都市を望む視点と、その足もとの虚空を見る視点──
視覚的認識と空間的認識、生と死、理想と現実が衝突し、その端の上にある人間の存在を提示する。
「現在とは、未来と過去の間の、とても短い一瞬のことです。
つまり私たちは皆、何らかの端の上に生きているのです。
生と死の間、そして理想と現実の間に。」アン・ジュン
「 素足になり、まだ見ぬ世界へ飛び立つその開放的な姿態によって、彼女は観賞者を虚空の端へと誘う。
そして彼女がそうするように、崇高さの際に立つようにと後押しするのだ」
ミシェル・ドゥーン・マーシュ(キュレーター)
サイズ:364×233mm
頁数:88ページ