『コーヒーと小説』庄野雄治 編
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『コーヒーと小説』庄野雄治 編

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著者:庄野 雄治 出版社:mille books 発行日:2016年10月1日 判型:四六版変形、上製本 ページ数:272頁 カバーモデル:安藤裕子 写真:大沼ショージ 挿絵:木下綾乃 ------------------------------------------------------ 【出版社紹介文】 コーヒーによくあう、すこぶる面白い小説10編 古い小説にも造詣の深い、『コーヒーの絵本』の著者で徳島の人気焙煎所アアルトコーヒー庄野雄治が、コーヒーによくあう“すこぶる”面白い短編小説10編を厳選しました。現代に生きる私たちにこそ響く、至極面白く、とても読みやすい10編です。コーヒーを飲みながらお楽しみください。カバー写真には、小説に登場する魅力的な女性たちの象徴として、人気シンガーソングライター・安藤裕子さんを起用! 「コーヒー屋のくせにではなく、コーヒー屋だから作れた、ちょうどいい短編集」 小説は読まなければならないものではない。そこがコーヒーとよく似ている。 どちらも、あってもなくてもいいけれど、あれば生活が豊かになる。だから、小説とコーヒーはよくあうのだ。 ◎掲載作品(掲載順) 「グッド・バイ」太宰治、「桃太郎」芥川龍之介、「水仙月の四日」宮沢賢治、「日記帳」江戸川乱歩、「鮨」岡本かの子、「愛撫」梶井基次郎、「七階の運動」横光利一、「嫉妬する夫の手記」二葉亭四迷 、「野萩」久生十蘭 、「夜長姫と耳男」坂口安吾  ◎庄野雄治(しょうの・ゆうじ) コーヒー焙煎人。1969年徳島県生まれ。大学卒業後、旅行会社に勤務。2004年に焙煎機を購入しコーヒーの焙煎を始める。2006年徳島市内に「アアルトコーヒー」を、2014年同じく徳島市内に「14g」を開店。著書に『誰もいない場所を探している』、『徳島のほんと』(福岡晃子との共著)、『コーヒーの絵本』(平澤まりことの共著)、『はじめてのコーヒー』(堀内隆志との共著)、『たぶん彼女は豆を挽く』がある。  コーヒー屋になって何年もヒマだった。テレビもパソコンもない店だったから、とにかく一日じゅう本を読んでいた。そのほとんどが小説、しかも古典とされている古い作品ばかり。しかし、これがすこぶる面白かった。そして、それらの作品から、時代は変わっても、人は全然変わっていないんだってことを教えられた。自然災害の前では立ちすくみ、妻と仲良くする男には腹を立て、猫の足の裏はあたたかい。  小説には、ノンフィクションや哲学書のように、何の答えも書かれていない。しかし、それが何より素晴らしい。読んだ人の数だけ物語がある。それは自分で考えるということ。正しいとされる答えを覚える勉強ばかりして育ってきた私たちに必要なのは、自分で考えるということなんだ。  自由なようでいて、小説を書くこと、読むことがこんなにも不自由な時代はないんじゃないか、と思うことがある。小説とは何なのかよくわからない時代、作家たちが情熱を傾けて作った物語の強靭さと、自由に小説という荒野を駆け回る様を味わって欲しいと思い、チャーミングな十編を選んだ。文豪と言われる人たちの作品が多いけれど、決して代表作でもないし、完成度や評価の高い作品ばかりではない。中には未完の作品や、習作まである。だけど、そのどれもがとても読みやすく、すこぶる面白い。それがこの本の唯一のテーマだ。『コーヒーと小説』というタイトルだけれど、小説の中には一切コーヒーは出てこない。  コーヒーはいろんなものに寄り添えるところがいい。特に本との相性は抜群だ。コーヒーを飲みながら、一日一編をゆっくり読む。十日で読み終わる。豊かな時間だったな。そしてまた、時間をおいて何度も手に取る。本として長く愛でることの出来る、強度のある小説集が一冊あれば、それでいい。  コーヒー屋のくせにではなく、コーヒー屋だから作れた、ちょうどいい短編集。コーヒーを飲みながら楽しんでいただけると、望外の幸せだ。 (「はじめに」より)